股関節グループ
股関節グループでは井上医師・安部医師・三上医師・本家医師がさまざまな疾患に対する治療を行っています。2023年度の股関節手術件数は約710件で、そのうち人工股関節置換術が約570件、その他にも乳児の先天性股関節脱臼に対する整復術、成人の股関節臼蓋形成不全に対する骨切り術、高齢者の骨折に対する骨接合術など多様な症例、術式に対応しています。
人工股関節全置換術
変形性股関節症や大腿骨頭壊死、関節リウマチなどの疾患に対する人工股関節置換術は確実な除痛と日常生活動作の改善がすみやかに得られる、優れた治療法です。
使用する人工股関節はセメントで固定するタイプ(図1-1,2)と骨に直接固定させるセメントレスタイプ(図2-1,2)がありますが、当院では患者さんの骨質や骨の形態に応じて使い分けています。
図1-1
図1-2
図2-1
図2-2
通常の手術では術翌日から歩行可能となり、1~2週で杖歩行にて退院となります。骨盤側に大きな骨移植を要する例や大腿骨で矯正・短縮骨切りを要する特殊例では入院期間が延長することがあります(図3-1,2)。
図3-1
図3-2
人工股関節置換後のゆるみ、感染、脱臼や血栓症などの合併症に対しても入院前から退院後まで、その発生を防止すべくスタッフ一同努力しています。
人工股関節全再置換術
人工股関節の耐久性は向上してきましたが、それでも人工股関節のゆるみはゼロにはなりません。初回手術の適応年齢が若年化しており、また平均寿命も年々延長していることから再置換を要する患者さんも今後増加すると考えられています。
再置換の場合は骨質が弱くなっていたり、大きな骨欠損があったりと、手術手技的にも困難な場合が少なくありませんが、症例に応じて骨の補填や補強を行い、できるだけ元の状態に回復するように工夫しています(図4-1,2)。
図4-1
図4-2
骨切り術
股関節臼蓋形成不全は日本人の女性に多く、先の人工股関節置換術の対象となる変形性股関節症もこの状態が放置されると発症します。投薬やリハビリテーションなどの保存治療の効果が得られない患者さんに対しては寛骨臼回転骨切り術(寛骨臼移動術)などの骨切り術を行い、症状を改善し将来的な関節症発生予防に努めています(図5-1,2)。
また青壮年期に多い大腿骨頭壊死症や小児のペルテス病に対しては骨頭圧潰(変形)を防ぐために大腿骨骨切り術などを行っています(図6-1,2)。
図5-1
図5-2
図6-1
図6-2
主な股関節手術実績
股関節手術総数 | 718件 |
人工股関節全置換術 | 520件 |
人工股関節再置換術 | 51件 |
寛骨臼回転骨切り術 | 13件 |
人工骨頭置換術 | 34件 |
その他 | 100件 |
(2023年度)